白樺から音もなく
黄ばんだ落ち葉が舞う
ワルツの調べ「秋の眠り」が
アコーディオンで奏でられている
あたかも まどろみの中の
ため息のような低音のメロディーに
黙って 耳を傾ける
私のいとしい 戦友たち


このワルツが流れた 春の日
踊りの輪の中に 入っていったものだ
このワルツを 故郷で聴いたときは
恋人と愛し合っていたのだ
このワルツの調べは いまは遠き
愛する人の 姿を浮かび上がらせる
このワルツを聴いていると
愛する人に会えない 辛さがつのる

懐かしい調べが よみがえる
前線の森の中で
たえなる調べは ひとりひとりの心を
愛する人の許へ帰す
兵士たちはみな 胸の中に
明るい春への 希望をふくらます
でも 兵士たちは知っている
春の手前に 戦いがまちうけることを



希望と喜びは 苦難のときにも
僕らを勇気づける
たとえ死して 大地に抱きとめられても
それは たった一度のこと
硝煙と砲火 その中での死を
われら戦士は おそれない
ただ目標に向かい
任務を果すだけ


そう 戦友よ いまは
鋼となって 戦うとき
わが心は 揺れることなく
腕もふるえない
さあ 出発のときがきた
みんな 進もう 目標まで!
昨日までの すべての人生と
明日からの あらたな生活のために



白樺から音もなく
黄ばんだ落ち葉が舞う
ワルツの調べ「秋の眠り」が
アコーディオンで奏でられている
あたかも まどろみの中の
ため息のような低音のメロディーに
黙って 耳を傾ける
私のいとしい 戦友たち
(1)
С берез неслышен, невесом       
Слетает желтый лист,           
Старинный вальс "Осе-е-енний сон"  
Играет гармонист.             
Вздыхают, жалуясь, басы,        
И словно в забытьи            
Сидят и слушают бойцы,        
Товарищи мои.               

Под этот вальс весенним днем     
Ходили мы на круг,            
Под этот вальс в краю ро-одном    
Любили мы подруг,            
Под этот вальс ловили мы        
Очей любимых свет,           
Под этот вальс грустили мы       
Когда подруги нет.             

И вот он снова прозвучал         
В лесу прифронтовом,           
И каждый слушал и молчал        
О чем-то дорогом,              
И каждый думал о своей,          
Припомнив ту весну,            
И каждый знал - дорога к ней       
Ведет через войну.              


(2)
Пусть свет и радость прежних встреч  
Нам светят в трудный час,         
А коль придется в землю лечь,      
Так это ж только раз.             
Но пусть и смерть в огне, в дыму     
Бойца не устрашит,              
И что положено кому             
Пусть каждый совершит.          

Так что ж, друзья, коль наш черед,-    
Да будет сталь крепка!            
Пусть наше сердце не-е замрет,      
Не задрожит рука.               
Настал черед, пришла пора, -        
Идем, друзья, идем!              
За все, чем жили мы вчера,         
За все, что завтра ждем.            


(3)
С берез неслышен, невесом       
Слетает желтый лист,           
Старинный вальс "Осе-е-енний сон"  
Играет гармонист.             
Вздыхают, жалуясь, басы,        
И словно в забытьи            
Сидят и слушают бойцы,        
Товарищи мои.               
В лесу прифронтовом(前線の森の中で)
作曲マトヴェイ・イサーコヴィッチ・ブランテル(1903~1990)、作詞ミハイル・ヴァシリエヴィッチ・イサコフスキー(1900~1973)のコンビで1943年に発表されたワルツです。この二人は、名曲「カチューシャ」を生み出しており、戦時中も「前線の森の中で」を含めていくつか美しい曲を生み出しています。
 
この曲は、旋律の美しさもさることながら、歌詞の内容の温かさに心打つものがあります。独ソ戦中、ソ連では多くの詩人、文学者や作曲家が従軍して前線に赴き、兵士たちの暮らしぶりを見つめて作品をものしました。1943年秋口、年初のスターリングラード攻防戦勝利に引き続き、夏のクルスク地区大会戦で多大な犠牲を払いながらドイツ軍を押し返したソ連軍は、全面的な反攻に転じていました。歌は、ウクライナの首都キエフなどの奪回をめざして進撃する途上、森の中で休止した将兵たちが蓄音機(又はアコーディオン奏者)を囲んで、古いワルツ「秋の眠り」に耳を傾け物思いにふけっているさまを活写しています。

ひとりひとりの兵士たちは、アコーディオン(ガルモニー)の奏でるワルツの調べに、懐かしい故郷や恋人とダンスに出かけたこと、ワルツの調べを聴きながら別れて出征してきたときのことなど、様々な情景を思い描いているだろうと、群れをなして座る兵士の横顔や背中を見守るイサコフスキーの温かな目線が歌詞にあらわれています。
 
 この名曲が、なぜ日本でほとんど紹介されなかったのか、不思議でなりません。尚、日本で公開されたソ連映画(タルコフスキー監督の「僕の村は戦場だった」など)には、しばしば背景に流れる音楽として登場しています。
 
 埋め込映像は、アレクサンドロフ記念ロシア陸軍アカデミー歌と踊りのアンサンブル・ブランテル生誕100周年記念コンサート(2003年)のものです。

「前線の森の中で」

(В лесу прифронтовом)

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