黒い瞳のコサック少女が
馬の蹄鉄を直してくれた
手間賃はいくらか尋ねると
ほんのわずかしか取らない
「君の名前は?」と聞くと
その娘はこう言ったよ
「私の名は馬に乗っている時
いつも聞いているはずよ」





俺は通りへ馬を進めた
野の道へさしかかり
嵐の中の小道へ 曇り空の下
岩道でも ずっと考えた
マーシャ、ジーナ、ダーシャ、ニーナ
…みんな違う!
「カーチャ、カーチャ」-
その時、蹄鉄が囁いたのさ





俺は馬を止めて ハッとした
ギャロップで馬を走らすと
「カーチャ、カーチャ、カチェリーナ」
蹄鉄が彼女の名をさけぶ
なんてことだ
俺には許婚がいるのに
彼女の名が耳を離れない
彼女の唄も忘れられないよ

(1)
Черноглазая казачка     
Подковала мне коня.     
Серебро с меня спросила, 
Труд недорого ценя.     
“Как зовут тебя, молодка?”
А молодка говорит:     
★1“Имя ты мое услышишь 
   Из-под топота копыт“  

А-а-а, а- а- а- а- а- а- а,
     (★1くりかえし)

(2)
Я по улице поехал,     
По дороге поскакал,     
По тропинке между бурых,  
Между серых между скал  
Маша, Зина, Даша, Нина,   
Все как будто не она!    
★2Катя, Катя – высекают  
   Мне подковы скакуна.

А-а-а, а- а- а- а- а- а- а,
     (★2くりかえし)

(3)
Стой поры хоть шагом еду, 
Хоть галопом поскачу     
“Катя Катя, Катерина..”    
Неустанно я шепчу.      
Что за бестолочь такая,   
У меня ж другая есть!     
★3Но уж Катю, словно песню,
   Из груди, брат, не известь.

А-а-а, а- а- а- а- а- а- а,
     (★3くりかえし)

※(1)くりかえし
Черноглазая казачка
(黒い瞳のコサック少女)
「カチューシャ」の作曲家として有名なマトヴェイ・イサーコヴィッチ・ブランテル(1903~1990)が1966年に作った曲。戦後の作品ですが、大祖国戦争(1941~1945)時にコサック村から出征する若いコサック兵が、既に父親も出征してしまって鍛冶屋を切り盛りしている少女とのやりとりを戦友にユーモラスに語りかける内容です。

ブランテルは、戦時中に前線まで出かけて取材し、赤軍兵士や銃後の市民を励ます「愛国歌」を50曲以上も作りました。彼の曲は大変人気があり、戦後も長く唄われていますが、この曲は戦時中のテーマを20年以上たってから持ち越して創作されたものです。おそらく、セルヴィンスキーが作詞したこの内容は、戦時中にどこかの部隊のコサック兵が語ったエピソードをモチーフにしたものでしょう。ユーモラスな少女とコサック兵のやりとりが軽快なリズムに乗ってここちよい傑作です。

ちなみに、最近、ロシアから連絡をいただいている元ソヴィエト陸軍アレクサンドロフ記念アンサンブルのソリストでバス歌手のレオニード・ハリトーノフさんによると、「この歌は、自分が唄うイメージにあわせて作曲されたもの」とのことです。埋め込み映像は、1969年に製作されたフィルムコンサート映画「新年の“人さらい”」の中に登場するハリトーノフさんとアレクサンドロフ・アンサンブルによる演奏です。

「黒い瞳のコサック少女」

(Черноглазая казачка)

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