おまえは何処 いとしい黒い瞳
わが生まれ故郷は 何処?
ブルガリアへの進軍
ドナウ川の向こう岸



長い行軍と戦いで
はるばる大地や川を越えてきたが
わが祖国ソヴィエトの地を
思い出さないことはなかった!



バルカンの星の下で
想いこがれるのは
ヤロスラヴリやリャザン
そしてスモレンスクの我が家



いとしい黒い瞳を想い
笑いながら小さな声でつぶやくのは・・
ブルガリアは素晴らしい国だが
ロシアはもっと素晴らしい!
(1)
Где ж вы, где ж вы, очи карие
Где ж ты, мой родимый край?
Впереди - страна Болгария,
Позади - река Дунай.


(2)
Много верст в походах пройдено
По земле и по воде,
Но Советской нашей Родины
Не забыли мы нигде!


(3)
И под звездами Балканскими
Вспоминаем неспроста
Ярославские, рязанские
Да смоленские места.


(4)
Вспоминаем очи карие,
Тихий говор, звонкий смех.
Хороша страна Болгария,
А Россия лучше всех!
Под звёздами балканскими
(バルカンの星の下に)
独ソ戦も末期に近づいた1944年になると、ソ連軍はかつての西部国境線までドイツ・枢軸軍を押し返し、異国の地に進軍し始めます。そうなると、軍について従軍している音楽家や詩人たちも、異国の地での兵士たちの様子や心情を詩や歌に表現するようになりました。

 日本でよく知られる「バルカンの星の下に」は、独ソ戦中にコンビを組んでいくつもの名曲を生み出したマトヴェイ・イサーコヴィッチ・ブランテル(1903〜1990)の作曲、ミハイル・ヴァシリエヴィッチ・イサコフスキー(1900〜1973)の作詞で作られました。テーマになったのは、黒海沿岸からルーマニアを経てブルガリア、バルカン半島方面へ進出したソ連軍です。

 バルカン半島では、いくつかの国がドイツと同盟していましたが、1944年になるとドイツを見限り、早期にソ連と講和したり連合国側で参戦する国が相次ぎました。国境を越えたあと、当該国の軍隊との本格的戦闘は少なく地元住民から進軍したソ連軍は歓迎を受けました。

 その後、ユーゴやハンガリー方面に進撃すると、逃げ場を失った枢軸軍との戦闘が激しくなり、終戦までたいへんな犠牲者を出しましたが、この曲で唄われているブルガリアを通過する際は、ほとんど抵抗も受けずソ連兵士たちは戦争の終わりを予感し、郷愁の念を高ぶらせたといわれます。

 あえてロシア民謡風のメロディに「ブルガリアはいい国だ しかし、ロシアはもっといい」との歌詞をのせるあたりに、そうした兵士たちの感情を反映させているのです。

 埋め込み映像は、ラジオ放送用などでこの曲を初めて唄ったといわれるユーリー・エルニコフによるもの。

「バルカンの星の下に」

(Под звёздами балканскими)

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